高瀬隼子さんの芥川賞受賞作 「おいしいごはんが食べられますように」を読みました。
一気読みできます。心のざわつきが止まらない、と帯にあるように、ずっとざわざわしっぱなしでした。
私の感覚とは全く違う登場人物で、驚きの連続、でも誰しも、そして私も、方向性は違うけどどこかでこんな感情を持ってるのかも、と考えずにはいられない小説でした。
タイトルや表紙の絵で想像していた内容とかけ離れていて、なかなかおもしろかったです。
※ここから少しネタバレがあります。
ネタバレを読みたくない方はご注意ください!
あのラストだと、二谷はもうずっとおいしいごはんが食べられなさそうな気がします。だからこのタイトルなんですかね。
世の中には「ごはんを食べずに済むなら食べなくていい、おなかがすかなければいいのに」なんていう考え方の人もいるのか、とひたすら驚きしかなかったです。おいしいものが嫌いな人なんていないだろうと思っていたので、こんな考えがあるとは、今まで想像もしたことがなかったです。
私は“もう一生、おいしいもの以外は口にしたくない、一食も無駄にしたくない”という食への強い執着があるので、なんだか真逆だな、と思って読みました。私の執着もかなり特殊だと自覚していますけど。
とはいえ、食べたくない人に「美味しいから食べてみなよ」と押しつけることはしないタイプ(そもそも好きじゃない人のところに行く食べ物が気の毒だし)なので、芦川さんとその周辺の人たちのことも理解できませんでした。
本当に不穏な小説で、最後までざわつかせて終わるところが「うわぁ…」って感じで、私にはなかなかの衝撃でした。すごい表現力ですね。
次はどんな小説を書いてくれるんだろう、と楽しみになります。高瀬隼子さん、また読んでみたいです!